SPOT 01
全国で唯一、現存する12天守の一つ。標高430mの高梁山頂から四国の山々を臨む。
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標高四百三十メートル、臥牛山の頂に、いまも静かに立ち続ける天守があります。備中松山城の天守は、江戸時代以前に建てられた姿をそのまま今日に伝える「現存十二天守」のひとつ。そして、その十二のなかで唯一、山城に残された天守です。外から眺めれば三重に見えるこの建物は、実は二層二階建て。高さはおよそ十一メートルと現存天守のなかで最も小さく、しかし、この小ささのなかに凝縮された時間の重さは、他のどの城にも引けを取りません。
天守の一階には、現存十二天守のなかで唯一、囲炉裏が残されています。戦国の世、籠城の兵たちがここで火を熾し、煮炊きをして命をつないだ——その痕跡が、数百年を経た今もこの場所に息づいています。この天守を修築したのは、江戸時代の藩主・水谷勝宗。天和元年(一六八一年)に着工し、三年の歳月をかけて完成させた姿が、そのまま国の重要文化財として指定を受けています。
幾多の戦乱を潜り抜け、廃城令の波もかいくぐり、荒廃の時代を経てなお、この天守は山の上に立ち続けました。それは偶然ではなく、この城を守ろうとした人々の意志の積み重ねです。ぜひ、ゆっくりとご覧ください。